AniCulator(アニキュレーター)とは

獣医師・動物看護士向けの計算アプリ

獣医療における心機能評価の革命:心係数の重要性と計算法

 

心係数とは

心係数(Cardiac Index)は心機能を評価するための重要な指標の一つであり、心拍出量を体表面積で割った値を示します。人医療では心係数を基に心不全患者の治療方針を区別する方法(Forreste分類)が示されているほど、重要な指標となっています1)。Forreste分類では心係数< 2.2L/min/m² を低拍出性心不全として取り扱い、強心薬を中心とした薬物療法が推奨されています。

 

心係数の計算方法

心係数は左室流出路の1回拍出量に心拍数をかけて心拍出量を求め、さらに体表面積で割ることで求められます。

1回拍出量(ml)= π × (左室流出路の直径÷2)2× 左室流出路の時間速度積分値(VTI)

心拍出量(L/min)= 1回拍出量÷1000×心拍数

心係数(L/min/m2)= 心拍出量÷体表面積

 

心係数の利点

  • 総合的な心機能の評価
    心機能の評価法には様々な指標が考案されていますが、心係数は心臓のポンプ機能(心臓が血液を駆出する能力)を評価できる唯一の指標と言えます。
  • 治療方針の判断
    心係数が低い症例では心機能の低下による心不全の悪化が示唆されます。人医療では強心薬をやみくもに使用すると予後が悪化することが示されており、短期間の適切な使用が推奨されています1)
  • 心不全の病態を把握
    心不全と言っても、厳密には低拍出性心不全と高拍出性心不全に大別することができ、後者の場合には強心薬は必要ありません。

 

心係数の制約

  • 計算が複雑
    心係数の計算式は上記のとおりとても複雑なので、通常の計算機を使うとかなり面倒な計算です。したがって、臨床現場ではなかなか利用されていないのが現状です。
  • 正常参考値が確立していない
    人医では心係数の正常参考値が確立していますが、犬猫では未だに正常参考値が確立していません。したがって、臨床現場では利用しにくいままの状態となっています。

 

心係数の簡単な計測法

 

AniCulatorでは左室流出路の直径、左室流出路の時間速度積分値、心拍数、体重を入力するだけで、心係数を算出でき心臓ポンプ機能を迅速に評価できます。

また、AniCulatorでは心臓ポンプ機能の判定結果が表示されるので、心機能の低下・上昇を簡単に把握できます。

 

使い方

  1. AniCulatorの「検査」から「心係数」を選びます。
  2. 体重、心拍数、大動脈径、左室流出路の時間速度積分値(VTI)を入力します。
  3. 確定ボタンをクリックすると画面の上段に計算結果が表示されます。

 

AniCulatorはこちらからインストールできます(現在はiOSのみの配信です)